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「どうしたら元の時代に戻れるんスか? また祈ればいいんですかね? えっと、俺の時代に戻れ! ……あれ、戻らない」
『本来なら、それでいいのじゃが……今回はずいぶん昔に時間移動したからの。宝玉がその力を使い果たしてしまっておる。しばらくは元の時代に戻れまい』
「マジっスか! えー……どうしたらいいんスか、これ」
『不用意に重要アイテムを使うからそうなる。ドラゴンを倒して、ルティナ姫まで助けてしまいおって。本来それは初代勇者の役目なのじゃぞ?』
「本当ッスか。やばいことしちゃいましたかね、俺」
これだと勇者の伝説は変わっちゃうんじゃないか?
あまり歴史には詳しくないけど、なんかそんな気がする。
さすがに冷や汗をかく俺だったが、しかしリプリカ様からの返事は意外なものだった。
『それがおかしいのじゃ。先ほどから、時の宝玉を通じてそなたのいる世界を探っておるのじゃが、初代勇者の気配を感じん』
「……どういうことです?」
『言葉通りの意味じゃ。ルティナ姫を救い、魔王を倒すはずの初代勇者アリアが、なぜかその世界にはおらんらしい』
はあ!?
「どういうことですか、それ。だったらこの世界、魔王に支配されて終わりじゃないですか」
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