第2章 初代勇者不在の世界で

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 それからきっかり10秒間、呆然としたあと、 「ど、ど、どういうことですか!? 魔王の呪いがかかった鉄格子が、こんなにもあっさりと開くなんて! なにをされたのですか!?」 「なにって……初歩の解呪魔法だけど?」 「魔王の呪いを解いたのですか!? に、人間のあなたが!?」  なにをそんなに驚いているんだろ。  【アブレム】は、まったく難しい魔法じゃないのに。  この鉄格子にかかっていた呪いなんて……全っ、然!!  強力なものじゃなかったからな。このぐらいなら、俺の魔法でもなんとかなるさ。  しかしザコのドラゴンを見張り役にしたり、簡単な呪いの鉄格子を使って閉じ込めたり、魔王にとってこの姫様は、あんまり重要人物じゃないのかなあ。 『ザザザ……エルド! そなた、気付いておらんのか?  世界の戦闘技術や魔法の力の水準は、数千年の間に激しく進化した。  11代目の勇者の時代で育ったそなたの実力は、腕力も魔法力も総合的な戦闘力も、初代勇者の時代の者たちとは比べ物にならんのじゃ。  いくらパーティー内では最弱だったとしても、その時代に行けば無敵そのもの……!     
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