177人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
数百年前に死んだはずの魔王が復活し、世界征服を始めたのだ。
いわゆる世界の大ピンチだが、そのとき、町長はふいにあいつに向けて言ったのだ。
「アークよ。おぬしは、実は伝説の勇者の子孫なのじゃ!」
なんとビックリ衝撃の事実。
村長は10数年前、神様から、
「間もなく魔王が復活する。その日のために勇者を育ててくれ」
と、託されていたのだ。
……いや、それなら神様がアークを育てりゃいいんじゃね?
と、俺はその場でツッコんで「空気を読め」と村長にチョップを食らったが、その後詳しく話を聞くと、神様はすでにそのとき魔王に力を奪われていて、その生命は尽きようとしていたとか。ちゃんと事情があったのだ。
まあとにかく、そういうわけで。
アークは勇者として村を旅立つことになった。
となると俺も、当然黙ってはいられない。
「俺もその旅についていく。ふたりで世界を救おうぜ!」
そう言って、俺はアークといっしょに旅に出た。
仲間として、いくつもの修羅場をあいつと共にくぐり抜けた。
いくつかの村や町、いくつかのダンジョン、いくつかの大陸を共に練り歩いて――
「それなのに、いまじゃこの有様、か」
ひとりでコップの中のオレンジジュースをあおる。
最初のコメントを投稿しよう!