序章 パーティー二軍のままエンディングを迎えるって実際どうよ

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 数百年前に死んだはずの魔王が復活し、世界征服を始めたのだ。  いわゆる世界の大ピンチだが、そのとき、町長はふいにあいつに向けて言ったのだ。 「アークよ。おぬしは、実は伝説の勇者の子孫なのじゃ!」  なんとビックリ衝撃の事実。  村長は10数年前、神様から、 「間もなく魔王が復活する。その日のために勇者を育ててくれ」  と、託されていたのだ。  ……いや、それなら神様がアークを育てりゃいいんじゃね?  と、俺はその場でツッコんで「空気を読め」と村長にチョップを食らったが、その後詳しく話を聞くと、神様はすでにそのとき魔王に力を奪われていて、その生命は尽きようとしていたとか。ちゃんと事情があったのだ。  まあとにかく、そういうわけで。  アークは勇者として村を旅立つことになった。  となると俺も、当然黙ってはいられない。 「俺もその旅についていく。ふたりで世界を救おうぜ!」  そう言って、俺はアークといっしょに旅に出た。  仲間として、いくつもの修羅場をあいつと共にくぐり抜けた。  いくつかの村や町、いくつかのダンジョン、いくつかの大陸を共に練り歩いて―― 「それなのに、いまじゃこの有様、か」  ひとりでコップの中のオレンジジュースをあおる。     
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