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「よし、まずはあそこに行ってみるか」
「は、はい。……日が暮れる前にたどり着けるといいのですが」
ルティナ姫の言う通り、煙が見える場所はずいぶん遠くだ。
歩いていったら、半日、いやへたしたら丸1日くらいかかるかもしれない。
疲れ果ててるお姫様を、そんなに長く歩かせるわけにはいかないな。
「そんじゃ、これも魔法でなんとかしますか」
「え?」
戸惑い顔の姫様の肩に、そっと手を置いて、
「【ローベ】!」
ひゅんっ! ……バッ!!
「え。……え、え、え?」
「はい、到着。おおっ、なかなか大きい村じゃん」
俺は瞬間移動魔法【ローベ】を使った。
頭の中に思い描いた場所に、一瞬で移動する魔法だ。
この魔法を使えば一瞬で、町や村に戻れるので、アークと旅をしていたころは重宝した魔法だ。
この魔法の便利なところは、目に見えている場所ならば、そこにも瞬時に移動できるところだ。だから、今回みたいに山奥を移動しているときにも便利ってわけだ。
で、俺たちの目の前には、木造の家屋が何十軒か、立ち並んでいる。
宿屋、武器屋、道具屋と、お店もいくつか見えるぞ。
ここならルティナ姫をゆっくり休ませてやれそうだ。
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