第3章 シリーズ内でも貨幣価値ってけっこう変わるもんだからね

3/9
179人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
「よし、まずはあそこに行ってみるか」 「は、はい。……日が暮れる前にたどり着けるといいのですが」  ルティナ姫の言う通り、煙が見える場所はずいぶん遠くだ。  歩いていったら、半日、いやへたしたら丸1日くらいかかるかもしれない。  疲れ果ててるお姫様を、そんなに長く歩かせるわけにはいかないな。 「そんじゃ、これも魔法でなんとかしますか」 「え?」  戸惑い顔の姫様の肩に、そっと手を置いて、 「【ローベ】!」  ひゅんっ! ……バッ!! 「え。……え、え、え?」 「はい、到着。おおっ、なかなか大きい村じゃん」  俺は瞬間移動魔法【ローベ】を使った。  頭の中に思い描いた場所に、一瞬で移動する魔法だ。  この魔法を使えば一瞬で、町や村に戻れるので、アークと旅をしていたころは重宝した魔法だ。  この魔法の便利なところは、目に見えている場所ならば、そこにも瞬時に移動できるところだ。だから、今回みたいに山奥を移動しているときにも便利ってわけだ。  で、俺たちの目の前には、木造の家屋が何十軒か、立ち並んでいる。  宿屋、武器屋、道具屋と、お店もいくつか見えるぞ。  ここならルティナ姫をゆっくり休ませてやれそうだ。     
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!