第3章 シリーズ内でも貨幣価値ってけっこう変わるもんだからね

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「しゃあない。こうなったら、剣を売るか」  俺は腰に差したはがねの剣をポンポンと叩いた。  300バルクにもならない廉価品だが、売れば多少は金になる。 「エルド様。よろしいのですか? 剣は剣士の魂では――」 「いいよ、別に大した武器じゃないし。それよりもいまはルティナ姫のための宿代を稼ぐほうが先決さ」 「……エルド様。……あなた様は……なんて、なんてお優しい……!」 「ここが武器屋か。よし、入ろう。すみませーん、剣を下取りしてほしいんスけど――」  と、店に入った瞬間、俺はプチ後悔した。  やっべ、スキンヘッドのオッサンが、ジロッと俺を睨んできたぞ。  直感だが、このひと、俺の苦手なタイプ。なんかイバる感じの男とみた。 「下取りだと? ふん……」  ほーら、初対面なのにいきなりエラそうだ。 「最近の若僧は、剣の目利きもろくにできんからな。くだらん武器ばかり悪徳商人に高値で買わされて、飽きたらすぐに売りに来る。あんたもどうせそのクチだろう」 「はあ」 「ああ、嫌だ嫌だ。魔王が世界を支配しようってときに、若いやつらは武器の選び方も知らんのだからな。武器もかわいそうだ。ろくな使い手に選ばれんで……」  客なのに、俺、なんで説教受けてるんだろう。     
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