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「しゃあない。こうなったら、剣を売るか」
俺は腰に差したはがねの剣をポンポンと叩いた。
300バルクにもならない廉価品だが、売れば多少は金になる。
「エルド様。よろしいのですか? 剣は剣士の魂では――」
「いいよ、別に大した武器じゃないし。それよりもいまはルティナ姫のための宿代を稼ぐほうが先決さ」
「……エルド様。……あなた様は……なんて、なんてお優しい……!」
「ここが武器屋か。よし、入ろう。すみませーん、剣を下取りしてほしいんスけど――」
と、店に入った瞬間、俺はプチ後悔した。
やっべ、スキンヘッドのオッサンが、ジロッと俺を睨んできたぞ。
直感だが、このひと、俺の苦手なタイプ。なんかイバる感じの男とみた。
「下取りだと? ふん……」
ほーら、初対面なのにいきなりエラそうだ。
「最近の若僧は、剣の目利きもろくにできんからな。くだらん武器ばかり悪徳商人に高値で買わされて、飽きたらすぐに売りに来る。あんたもどうせそのクチだろう」
「はあ」
「ああ、嫌だ嫌だ。魔王が世界を支配しようってときに、若いやつらは武器の選び方も知らんのだからな。武器もかわいそうだ。ろくな使い手に選ばれんで……」
客なのに、俺、なんで説教受けてるんだろう。
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