179人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
「ウソつけええええ!! こ、こ、こんなもん、こんなおっそろしいもん、お前のような若僧が、なぜ、どうして……!」
「エルド様。あなた様はどこかの国のご落胤なのですか? まさかはがねの剣を装備しているなんて!」
どういうことだ?
300バルクにもならない、古びたはがねの剣を、ルティナ姫と武器屋のオッサンは、なんでそんなに驚いてるんだ?
『ザザザ……エルドよ……はがねはこの時代……貴重品じゃ……! そこの武器屋が言う通り、貴族や大商人しか扱えぬ……。庶民は青銅の武器や防具がせいぜいの時代なんじゃ……! はがねが大量に市場に出回り、はがねの剣が庶民でも買えるような値段になるのは、ずっとあとなんじゃ……ザザザ……ええい、こっちはそっちの様子が見えるのに……こっちからの声が届かんのはもどかしいのう……!!』
「と、とにかく本物のはがねの剣だ。あんた、これ、本当に下取りに出すのか。い、いくらだ? あんまり高い金は出せねえぞ!」
「ん? そうだな。まあ、おたくの出せる分でいいよ」
「よ、よし分かった。ご、5000バルクだ。相場よりはずいぶん安いが、これしかいまのうちには出せん! ど、どうだ、この価格で――」
「5000!?」
宿代が1泊15バルクって話だから……。
それ、めっちゃ金持ちじゃん!
「よし、売った!」
最初のコメントを投稿しよう!