第3章 シリーズ内でも貨幣価値ってけっこう変わるもんだからね

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「ウソつけええええ!! こ、こ、こんなもん、こんなおっそろしいもん、お前のような若僧が、なぜ、どうして……!」 「エルド様。あなた様はどこかの国のご落胤なのですか? まさかはがねの剣を装備しているなんて!」  どういうことだ?  300バルクにもならない、古びたはがねの剣を、ルティナ姫と武器屋のオッサンは、なんでそんなに驚いてるんだ? 『ザザザ……エルドよ……はがねはこの時代……貴重品じゃ……! そこの武器屋が言う通り、貴族や大商人しか扱えぬ……。庶民は青銅の武器や防具がせいぜいの時代なんじゃ……! はがねが大量に市場に出回り、はがねの剣が庶民でも買えるような値段になるのは、ずっとあとなんじゃ……ザザザ……ええい、こっちはそっちの様子が見えるのに……こっちからの声が届かんのはもどかしいのう……!!』 「と、とにかく本物のはがねの剣だ。あんた、これ、本当に下取りに出すのか。い、いくらだ? あんまり高い金は出せねえぞ!」 「ん? そうだな。まあ、おたくの出せる分でいいよ」 「よ、よし分かった。ご、5000バルクだ。相場よりはずいぶん安いが、これしかいまのうちには出せん! ど、どうだ、この価格で――」 「5000!?」  宿代が1泊15バルクって話だから……。  それ、めっちゃ金持ちじゃん! 「よし、売った!」     
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