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「え? あ、ああ、分かった。見ねえよ……」
なんだって姫様がこんなに興奮しているのか、恥ずかしそうなのか。
それでいて、ちょっと嬉しそうなのか、俺にはやっぱりよく分からんが。
ところでルティナ姫から顔をそらすと、そこにはちょうど窓があって、外の景色を見ることができた。
外は夕方だ。まだ明るい。外出は可能だな。
「ルティナ姫。ちょっと外に行かないか? 着ている服、ボロボロだろ」
ずっと洞窟に閉じ込められていたんだから当然だが、彼女が着ているドレスは、元は一級品だったと思うが、いまはあちこちがすりきれて、かつ薄汚れてしまっている。
「金なら出すからさ。新しい服、買いに行こうぜ。ついでに今夜の寝間着も買ったらいい」
「こ、今夜っ……! ひゃ、ひゃいっ! あ、噛みました。……はい……! ……ああ、いよいよわたしはエルド様におたのしみされてしまうのですね……!!」
なんのおたのしみだろ。
ドラゴンから逃げられたのがそんなにおたのしみですか。
というわけで。
俺とルティナ姫は、宿の向かいにある仕立て屋に向かった。
で、姫様はいま、仕立て屋の中で服を選んでいる。
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