178人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ、お客さん!」
仕立て屋の中からおばさんが出てきた。
「代金を支払ってくださいな。お嬢さんの服のお金を」
「おっと、忘れてた。悪い悪い。いくらになるかな?」
「エルド様。立て替えていただいたお金は、あとで必ずお支払いしますので」
「これくらいいいって、大したことじゃねえし。で、いくら?」
「『皮のドレス』に『赤いマント』。それと『白手袋』に『木のブーツ』。あと寝るとき用の『パジャマ』。ああっと、それから――」
おばさんは、笑顔で言った。
「『エッチなしたぎ』。全部合わせて36バルクになりま」
「ちょおおおおおおおおおいッ!!!!!」
ルティナ姫が、怪鳥のごときけたたましい声音をあげた。
「おばさまおばさまおばさまッ! あああ、あんまりです! なんでそんなのを買ったことをエルド様の前でおっしゃるのですか! プライバシー保護って概念ないんですかッ!?」
「あはは、何を言ってらっしゃるのお嬢さん。もうおふたりは恋人同士なんでしょ? 宿の寝室まで同じだって言うならもう下着を買ったことくらいそんな」
「こここここ、恋人同士なんかじゃありません! わたしはそんな、わたしはよくてもエルド様はそんなそんな!」
え、エッチなしたぎ……。
最初のコメントを投稿しよう!