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「10日か。そこそこかかるな」
「……で、ですから道中、いろんな町や村に立ち寄れますね。えへへ、また同じ宿にお泊りですね、エルド様」
ルティナ姫はなぜかやけに嬉しそうに言ったが、俺としては早くお城に姫様を届けたい。
「あまりのんびりはしたくないな。王様はきっと娘をさらわれて心配しているだろうし」
昨日は、とにかくルティナ姫が疲れているだろうし服も綺麗にしたいと思って、村に宿泊したけどね。
「それはそうですが、しかし10日かかるのは間違いないですよ? 馬車を借りれば、もう少し早く行けるとは思いますが――」
「いや、たぶん瞬時に着けるさ」
「え」
「ルティナ姫は、ディヨルド王宮の形を覚えているよな? じゃあ、それを想像してみてくれ。……うん、じゃあそのまま、俺の肩に手を触れて……よし、いくぞ!」
「え、え、え?」
「【ローベ】!」
俺は、瞬間移動魔法を使った。
「――な、な、な? え、え、え!? こ、ここは、そんな、ここは、ここは――」
「はい、到着」
「ディヨルド王宮!?」
ルティナ姫は、仰天していた。
そう、俺たちはディヨルド王国の中心、すなわちディヨルド王宮に到着していたのだ。
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