第5章 だから王様ってケチだったんスか

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 レイピアを持った少女は、アイネスとかいう名前らしい。  それも騎士っていわれてるな。装備の良さといい、彼女の身分は普通の兵士より上っぽい。  ところで、そのアイネスのセリフを聞いて、俺はピンときた。俺の瞬間移動魔法を見て、こっちのことを魔王の手下だと誤解しちゃったわけだ。 「見れば見るほど、魔族っぽい輩め。この王宮になんの用か知らないが、このアイネス・リルヘイムに見つかったのが運の尽きだったな」  アイネスとやらは、微妙に得意そうな顔で剣を構えた。  それに続いて兵士たちも次々と獲物を構える。おいおい、待てよ、マジで戦う気? ちょっとはこっちの話を聞いてくれ―― 「皆のもの、いい加減にしなさい!」  そのときだ。  俺の後ろにいたルティナ姫が一歩前に出て、アイネスたちを怒鳴りつけたのだ。 「えっ、る、ルティナ姫様!?」 「ほ、本当だ。みずぼらしい格好だが、姫様だ」 「さ、さらわれたはずの姫様がなぜここに?」  兵士たちは、がやがやと騒ぎ出す。 「こちらは魔法戦士エルド様。わたしを魔王の部下のドラゴンから助けてくださった方です。魔族だなんてとんでもない」 「えっ!? こ、この男が、姫様を!?」  アイネスは、琥珀色の瞳を大きく見開かせる。     
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