第5章 だから王様ってケチだったんスか

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 俺が軽く左手を振った瞬間、アイネスが持っていた剣の先端が至極あっさりと折れ、横に向かって吹っ飛んで、そのまま地べたに突き刺さった。  あ。  やべ。  折っちゃった。 「な……なに? え? わ、私の……はがねのレイピアが……? まさか、素手で……? あ、ありえない……」 「悪い。まさか折れちまうなんて。軽く叩いただけのつもりだったんだけど……」  うわー、しくった。これは弁償だな。いくらするんだ、このレイピア。  まあ、こんなにあっさり折れるんだから、大した値段じゃないと思うけど。  ……って。  あれ? なにこの空気?  アイネスをはじめ、兵士たちは全員唖然とし、何か化け物を見るような目で俺のことを見ている。  俺、なんかそんなに驚かれるようなことしたかな? 「け、剣を折りやがった」 「し、しかも素手で……?」 「あれ、アイネス様のはがねのレイピアだろ? それをあんなにあっさりと……」  何をそんなに驚いてるんだ?  はがねのレイピアを折るくらい、俺の仲間なら誰でもできる。全然大したことじゃないのに。 「まあまあ、さすがはエルド様! 本日も絶好調のようで何よりです!」 「え。あ、ああ……」  ルティナ姫は、呆然としている集団の前でただ一人ニコニコ顔だ。     
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