第5章 だから王様ってケチだったんスか

5/9
前へ
/114ページ
次へ
「皆の者、分かりましたか? エルド様はこのようにとてもとてもお強いのです。私をお助けできたのも当然のことです」 「は、はい……。分かったような気がします……。しかし、それにしてもレイピアを折るなど……」  アイネスはまだ呆然としている。  「レイピアはお父様にお願いして、修理していただきます。さあ、それよりもエルド様、お城の中に入りませんか? きっと父はエルド様のことを大歓迎してくださるはずです」 「あ、そうか? うん、よし。じゃあ行こうかな」  ルティナ姫に促されて、俺はディヨルド王宮の中へと向かっていく。  兵士たちも、俺たちと共に王宮の中に一緒に戻っていく。  ただ一人アイネスだけは、まだ疑惑の気持ちがあるらしく、 「ありえない……魔法戦士エルド、だと……? 素手でレイピアを……ありえない……」  ありえないを連呼して、折れたレイピアをじっと見つめていた。 「いやはや、見事! 見事なり、魔法戦士エルドよ! まさかルティナを助けてくれる者が現れようとは……。けほ、けほけほ」 「お父様、ご無理をなさらないでください。お体にさわりますよ?」  ディヨルド王国の国主、ディヨルド7世は、痩せぎすの身体でせきこみながら、俺の功績を讃えてくれた。     
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

178人が本棚に入れています
本棚に追加