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そんな人が、現場に? 仕事の時は大丈夫だという確信があるが、その後が怖すぎる。仲間の前で恋人の態度なんて取られてみろ、確実に過剰なスキンシップと心配とで周囲がニヤニヤするに違いない。
ファウストは面白そうに声を上げて笑っている。それにもゼロスは憮然とした表情のままだ。
「あいつを捉まえてこれだけ言えるのはお前だけだな、ゼロス」
「いいんです、あの人を甘やかすとろくな事をしません」
「お前の中であいつはどういう認識なんだ?」
「仕事においては憧れと尊敬と信頼を寄せますが、プライベートになった瞬間に心配性で同じ男の俺を甘やかそうとあれこれ手を講じる困った所のある方です」
更に言えば夜の歯止めが利かなくなった瞬間に、とんでもない事を仕掛けてくる。仕事で培ったテクを遺憾なく発揮するのだからどうしたって勝てはしない。「お前は快楽に弱い」とあの人は言うが、開発してるのは絶対にあの人だ!
ファウストは今も可笑しそうに笑っている。目尻に涙まで浮かべる様子にブスッとしていると、その頭をまたポンポンと叩いてくる。絶対に面白がっている。
「いや、悪いな。あいつがしょっちゅうしょぼくれた顔で『ゼロスに怒られた』と言うものだから。どうなってるのかと」
「あの人は……」
またそういう他の人には知られたくないプライベートな事をべらべらと!
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