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何でもないような顔で背中を押してくれるアシュレーに深く一礼をしたゼロス達は、それぞれの任務に向けて動き出す。一番外周を固めるアシュレー達第一師団のスタンバイが終わると、第一陣の四人が動き出した。
「ゼロス、俺達を選んだ理由言ってみ」
軽やかに、そして素早く森の中を駆ける四人はその合間に会話をしていた。軽く睨むようなボリスの発言に、ゼロスは僅かに瞳を伏せてオーウェンを見た。
「司祭という役割の奴等がいるらしい。そいつらは見た目にも違うそうだ。濃紺のローブを纏っている。こいつらが生け贄の儀式を行っている。こいつらと、教祖だけは確実にこの場で殺す」
「俺達なら躊躇いないってことで、いいわけだ」
レイバンは溜息をついてオーウェンを見る。いつかの墓地で見た白いフード付きのローブを纏った彼は闇夜に浮かぶ幽霊のようでもあった。
「悪いな、レイバン、ボリス。お前達なら躊躇わないと思ったんだ」
「まぁ、いいけれどさ。躊躇わないし。でも、他の奴等だって向かってくる相手に手加減なんてしないよ?」
「中の状況が分からないが、異様なのは間違いないだろう。そういうものに飲まれる可能性がある。ハリーとドゥーは怖がりだし、コンラッドやトレヴァー、チェスターは一瞬躊躇うと思う。お前等、怯まないだろ?」
「ないね、そんなの」
「右に同じ。でも俺、ボリスよりは繊細だよ?」
「あっ、酷いなレイバン」
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