神殺し(ゼロス)

8/13
前へ
/156ページ
次へ
 軽口を叩きながらも足は例の屋敷に向かっていく。それにつれて、ゼロスの隣を走るオーウェンの気配が鋭くなってきた。 「三人に、お願いがあります」  移動しながらの突然の言葉に、三人は顔を見合わせとりあえず頷く。でも、嫌な予感しかしなかった。 「突入したら、僕とは距離を取って下さい。正直、自制がきかない可能性があります」  実に正直な物言いに、ゼロスは眉根を寄せた。  この人にとってこれは復讐。当然私怨が入る分苛烈だろう。  だが今回殺していいと言われているのは先に上げた司祭と教祖。他は抵抗しなければ殺さず捕縛が任務だ。 「抵抗しない信者は捕縛ですよ」 「善処します」 「絶対です」  なんだろう、叩いても響かないものってどうしようもなく虚しい。けれど一応釘は刺した。ゼロスとしても標的以外の犠牲がまったく出ないなんて思っていない。ただ、凄惨すぎる現場だけは避けたいと思うのだ。せめて一人くらいは残さないと。  そうこうしている間に目標の屋敷が見えてきた。周囲に目を向けると、第二陣のコンラッドからもひっそり合図がある。いつでも突入可能ということだ。 「レイバンとボリスは突入後、上階を先に回ってくれ。人を出す事と、あと一人残っているはずの子供の確保だ」 「了解。ゼロスとオーウェンさんは真っ直ぐ地下だね」 「あぁ」     
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

390人が本棚に入れています
本棚に追加