神殺し(ゼロス)

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 レイバンが確認を取り、四人はぞれぞれに頷く。そして、カウントダウンの後に扉を押し破った。  すぐに正面の階段をレイバンとボリスが上り、二手に分かれていく。そしてオーウェンが事前に聞き出していた地下に降りる階段に向かい走り込む。そのスピードは追いつくのがやっとで、かなり早い。  地下への階段は談話室の本棚の前。そこに僅かな窪みがある。暖炉の火かき棒をそこに突っ込み、てこの原理で押し上げる。すると比較的簡単に入口が浮き上がり、ゼロスは手を差し入れてそれをどかした。  地下へと続く階段は急に見える。そこを、オーウェンは滑り降りるように走って行く。これには流石についていかない。踏み外したら下まで落ちていきそうな感じがする。  そうして地下へと到着してすぐ、ゼロスは信者の集団にぶち当たった。  だがそれはゼロスに刃を向ける者達ではなくて、一心不乱に逃げ惑う人々の群れだ。誰もゼロスを見てもいない。むしろ邪魔だとすり抜け、押し倒されかねない状況だ。  人を掻き分け逃れた先で、何かを踏みつける。驚いて見たそこには、濃紺のローブを纏った六十代くらいの男が転がっていた。  首を裂かれたのだろう。頸動脈からはまだ血が溢れ出して水たまりを作っている。両目はカッと見開かれていた。     
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