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そうしている間に、騒がしい現場に到着した。数十人の人がロープで腕を拘束されて引き立てられていく。その更に奥、古めかしい屋敷の前にゼロスやレイバン、ボリスと一緒に見慣れない白いローブ姿の人を見た。
「ランバート!」
「え?」
ゼロスが気付いて声を上げ、それにつられて白ローブの人物がこちらを見る。
綺麗な緑色の瞳に、柔らかい顔立ち。綺麗な亜麻色の髪の……
こみ上げる感情は複雑であまりに多い。そしてまるで濁流のようだった。
こちらを見て逃げるように背を向けて走る人を、ランバートはフリムから飛び降りて追った。そしてその背中に縋るように抱きついて、ようやく止める事ができた。
「ごめん、兄ちゃん! ごめん、俺……俺が!」
「!」
俺が悪かった。俺が……
心の中を一杯に埋める後悔と懺悔。それをただ「ごめん」としか出せなくて苦しい。後ろから抱きついたまま肩に顔を埋めたランバートは人前にも関わらず泣いていた。そして必死に必死に、謝罪を繰り返した。
「あぁ、神よ……」
震えた声がオーウェンから漏れる。僅かに顔を上げたランバートの目に、光る滴が見えた。
「貴方に心から感謝する日が来るとは、思いませんでした。全ての非礼と不信心をお詫びし、以後貴方の教えに沿うよう努めます」
そう呟いたオーウェンが振り向き、ランバートを抱き寄せる。驚いて凝視したランバートに、オーウェンはとても幸せそうな笑みを浮かべた。
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