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「謝らなくていいんだよ、ランバート。謝罪なんて……この瞬間にもうどうでもいい事なんだ。僕を思い出してくれたのかい? 僕がしたことを、君は許してくれるのかい?」
「許すって……! あれは俺を助けようとしたことで、許すも何もない! 俺こそ声を上げて! それ以前に我が儘を言わなければその目」
右目には綺麗な緑色の瞳がある。けれど確かにあの時、この目は失われた。転がり出たそれを、その瞬間を今でも覚えている。
オーウェンは柔らかく微笑み、そっと瞳を閉じる。そして昔となんら変わらない様子で頭を撫でてくれた。
「ごめんね、助けてあげられなくて。酷く傷つけてしまったよね。ランバート、僕は嬉しい。また、君とこうして話しが出来て嬉しいんだ。思いだしてくれて嬉しいんだ」
「兄ちゃん……」
「僕の小さな弟くん。僕は君の事が大好きだよ。君が幸せで良かった。笑っていてくれて良かった。ただそれだけで、僕は心から救われるんだ」
背中を撫でる手が昔と変わらず優しくあやす。そうして二人で顔をグチャグチャに濡らしたまま、最後には笑う事ができたのだった。
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