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リハビリ
オーウェンと和解して、話しをして、気付いたら空が白んでいた。オーウェンはしきりに気を失った後の事を聞きたがったけれど、言わなかった。言えなかった。
そうして明け方に宿舎に帰ってきて、エリオットに「遅い!」と怒られて、今はファウストと一緒にベッドの中だ。
「ごめん、ファウストに迷惑かけたのに休みまで」
腕に抱かれて申し訳なく謝ると、ふわりと黒い瞳が微笑む。そして背に、温かな手が触れた。
「一日くらいどうとでもなる。お前が復帰したら、また楽ができるからな」
チュッと額に唇が寄せられる。くすぐったいような、嬉しい気持ちがこみ上げてきて鼻先を胸元に擦り寄せると、ファウストはくくっと嬉しそうに笑った。
「もう、平気か?」
「うん。ごめん、色々と」
「お前のせいじゃないだろ? それに、俺もお前との気持ちに改めて向き合えた。いい機会だったのかもしれない」
辛い思いをさせたのに、この人は優しい。どうしようもなかったのに、ジッと耐えてくれた。
深い愛情を感じる事が出来た。不安や焦りの中で苦しんだけれど、ファウストが向き合ってくれたから逃げずにいられた。
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