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なんか、改めてだと緊張する。普段は何となく隣りにいる彼とそんな雰囲気になって、キスをしたり触ったりしてベッドにとなるから。
ランバートのそんな緊張が伝わったのか、ファウストは苦笑して隣りに並び、ワイングラスを置いた。
「あの、今日は酒は」
「緊張してるだろ? ぎこちないぞ」
「……うん、緊張してる。改めてって、どう誘えばいいのか気恥ずかしくてさ」
でも今日は酒を入れずに言いたいし、ちゃんと体に覚えさせたい。それに気持ちもこの人の側にありたい。
隣りに座るファウストに向き直ったランバートは、居住まいを正して軽く頭を下げた。
「ファウスト、抱いてください。あと、傷つけてごめん。拒んだりして、ごめん」
伝えたら、少し辛そうな顔をした。あの時はそれに気付く余裕もなかったけれど、辛くないはずがない。もしも反対の立場だったら、苦しくて息ができないだろう。
そっと伸びた手が頬を包み込み、続いて唇が近づいて触れる。とても優しいその感触に身を任せると、心地よく穏やかになっていく。離れて、見つめ合う瞳がふわりと笑みを浮かべた。
「平気だな」
「もっと欲しい」
「素直だ」
おねだりに応えてもう一度触れた唇。素直に甘えられる今を望むように、ゆっくりと鼓動が早くなった。
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