391人が本棚に入れています
本棚に追加
家族会
事件から一週間後、ランバートは母シルヴィアからキスマーク付きの招待状を貰い、ビクビクしながらヒッテルスバッハ邸へと戻って来た。
「ごめん、ファウスト。母上がどうしてもファウストも一緒にって書いてあったから」
今回のキスマークは三つ。明らかに無視すると恐ろしいやつだ。
隣を歩くファウストは苦笑して「お前も大変だな」と言ってくる。どこか楽しげな表情なのが幸いだ。
そうして通された家族だけの談話室の前。既に中には数人いるのか、とても楽しそうな声が聞こえる。
「ハムくんの伴侶、これって犯罪じゃないのかい?」
「オーウェン、猫くんから離れろ!」
「えー、可愛いのに? この腕の中にピッタリなサイズ感がいいよね」
「オーウェン死ね!」
「あっ、あの、二人とも落ち着いて。そしてオーウェンさんは離して」
「はぁ……」
賑やかな声にドアを開ける前から逃げたくなる。どうやら兄弟と従兄弟が勢揃いらしい。
ファウストを見ると彼も苦笑していた。
その時ドアが開いて、分かっていたようにチェルルがひょこっと顔を出した。
「二人とも、入らないの?」
「なんだか面倒そうだったんだよ」
「分かってるなら助けてよ」
最初のコメントを投稿しよう!