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ランバートの隣りに戻ってきたファウストが、そっと肩を引き寄せる。その強さに驚くと同時に、強い意志も感じてそっと身を寄せた。
「勿論、大事にします」
「……やや、当てられるな。どいつもこいつも、これ見よがしに」
「素敵だと思いますわよ、アレク」
「君のその大らかな部分を、私は愛しているよ」
小首を傾げるエレノアに溜息をついたアレクシスはソファーに腰を下ろす。その横には当然のようにエレノアが座った。
「それにしても、今日の集まりはなに? 兄弟ばかりじゃなくて、その伴侶に、オーウェン兄ちゃんまで?」
食事会の趣旨は書いてなかった。首を傾げたランバートに、ハムレットがクイクイとアレクシスの方をさした。
「あの二人、ようやく結婚する事になったんだって」
「それで!」
「一度家族とその伴侶、そして側にいる親類を集めて食事会っていう流れらしいよ」
ハムレットのこの言葉に、ランバートは嬉しさ半分呆れ半分に笑った。
アレクシスとエレノアは随分長く交際していた。父と同じ仕事馬鹿の兄が社交界で唯一見初めたのが、エレノアだったのだ。
エレノアの家は伯爵家で、彼女は末の娘。その分父の溺愛が過ぎるようで、最初は二人の交際に反対していた。半端な家に娘をやれないと。そこでヒッテルスバッハと言えば今度は「娘が苦労する様な家にはやれない!」となったらしい。
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