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「こらシルヴィア、程々にしてやりなさい。ハムレットも、あまり煩く言うな。いくらなんでも息子の伴侶を奪うような母親ではないだろ?」
「ないけど!」
「では、収めなさい」
ジョシュアにこう言われては引き下がらざるを得ない。ハムレットは渋々といった様子で引き下がる。
そして視線はチェルルへと移った。
「あの……」
言葉が、出ないのだろう。彼は案外色んな事を気にしている。常識もあるのだから。
そっと、ハムレットがチェルルの手を握った。そして驚く程優しい視線で、チェルルを見るのだ。
この兄はとても変わった。大事な人を見つけて、本当に。
「……ハムレットさんの伴侶の、チェルルです。俺は貴族でもない、ただの孤児です」
静かに話し出すチェルルの言葉を、誰も遮ったりはしない。エレノアも静かに受け入れている。ただ、その続きを待っている。
「俺がここにいるのは、場違いなのは分かっています。こんな大貴族、俺みたいな生まれの人間は敷居すら跨げないってのも、分かっています。それでも俺は、ハムレットさんが好きで……ずっと側にいたいと思っています」
「チェルル」
「一生懸命努力して、この人を支えられるようになります。だからどうか! 今後ともよろしくお願いします!」
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