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思いきり頭を下げたチェルルはなんだか震えていて、可哀想になってくる。誰も彼を拒まない。誰も、二人の仲を引き裂きはしないのに。
そっとハムレットがチェルルの肩を抱いた。気遣わしい目で見るハムレットなんて、初めてみた。
「チェルル」
「はい!」
「もっと、自信を持ちなさい。君はココに招かれている。私は今日ここに、私の大事な家族を招いたんだよ」
「あ……」
毒気のない柔らかな笑みを浮かべたジョシュアに、チェルルは今にも泣き出しそうだ。その肩を強く抱いて、ハムレットは誇らしげにする。嫁自慢が始まりそうだ。
「ほら、チェルル大丈夫だったでしょ? もう、泣きそうになって。もしも受け入れないなんて言うなら、僕がこの家捨てるからいいんだよ」
「それがダメだって言ってるじゃないか、先生!」
「え-」
なんて話しになって、一気に空気は軽くなった。
二人が座って、視線はランバートに。それに緊張して、声がちょっと出ない。
なんて言って紹介しよう。紹介するのは当然いいんだけれど、言葉に詰まるというか、緊張するというか。そもそも何も用意していない!
「あの、叔父さん」
「どうした、オーウェン」
「先に僕が自己紹介しておくよ。年功序列といやつで」
「……わかった」
オーウェンがニコッと笑って立ち上がる。ふわっと昔と同じく柔らかく笑う姿は、どこかほっとした。
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