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予定時間よりも三〇分早く会議室に来たファウストは、集まっていたクラウルとシウスに事の次第を話してランバートの休養を伝えた。
「それは、辛いな」
シウスは我が事の様に沈んだ表情で言う。過去似たような経験をしたせいか、彼は親身だ。
「ゼロスも心配していたが、まさかそこまで事が深刻だとは思わなかったな」
クラウルも考え込むような様子でいる。
「今朝の様子はどうだえ?」
「かなりショックを受けている様子だったが、記憶はあった。夢の話も聞いた」
「夢?」
「暗い場所で、右目から血の涙を流した誰かがいる。とても怖くて、目が覚めるそうだ」
「右目?」
シウスの表情が僅かに険しくなった。
「いや、こじつけか。そもそも接点がないしの」
「どうした?」
「いや。今回の事件の被害者も、右目がない。血や心臓はよく見られるが、右目は何故奪われたのか。犯人のコレクションかなにかか」
「関わりがあると思っているのか?」
「だからこじつけだろうと思っておるよ。嫌なタイミングで共通の符号があっただけだ」
どうにも気持ちがピリピリしていて、言い方がきつくなっている。反省していると、会議室のドアがいきなり開いた。
「おぉ、初めて会う者もいるな!」
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