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ゼロスもシスターや神父の座る席を見回す。有り難い話が聞けると、今日は招待した教会以外の神父やシスターも来ている。この中にいるのだろうか。
やがて献花が終わり、参列する人々が祈りを捧げて一応は終わりとなった。だが外では炊き出しが行われ、子供や大人が混じり合っている。
オーウェンはそんな人々が見える場所に潜み、真剣な目を向けている。そしてふと、子供に声をかけている神父を見つけて指を指した。
「あの男、なんでしょうか?」
「え?」
正直普通の神父にしか見えない。ゼロスには何が引っかかるのか分からなかった。
だが、オーウェンは何か確信があるようにその男の後をつけた。
「オーウェンさん、何が」
「十字架の形なんです。うちは十字の下が長いものを使っているはずなのですが、あの人がしているのは全てが同じ長さの十字架でした」
オーウェンは確信を持っているようだったが、ゼロスはそんな所まで見ていない。今は背を追っている状態なので確かめる事もできない。
だが男は少年を連れたまま何やら話をしつつ、どんどん人の輪から離れた場所へと向かっている。
流石に子供も不安そうにしている。そこに、シスター姿の女性が現れた。首にかけている十字架は、確かに全てが同じ長さの十字架だった。
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