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食堂であって話をしたりはする。その時は別段変わった様子はない。けれど、不安そうにはしている。心細く、考え込む様子が見られる。あいつのそんな姿はこれ以上見たくないのだ。
ふと、ファウストの手がゼロスに伸びて、ワシワシと頭を撫でられる。驚いて見上げたその先には、少し弱い瞳があった。
「悪いな、お前にまで気を使わせて」
「いえ。ファウスト様にも、ランバートにも世話になってますので。こんな事で返せる何かがあるならそうしたいだけです。あと、早く二人が元に戻らないと隊の空気も微妙なので」
「そうか……そうだな」
苦笑するファウストがふと、悪い顔をする。この人のこういう俗物っぽい表情を知る事ができたのは、クラウルと付き合いが出来てからの事。そして納得だ。ランバートはこういう素のファウストに触れて、惚れていったんだと。
「俺が行かないかわりに、クラウルを全体の指揮にあてようか? あいつもお前が忙しくしているのを不安にしていた。俺に苦言を呈するくらいだから、頼めば二つ返事だぞ」
「結構です! あの人を巻き込まないでください。正直疲れます」
絶対に気疲れが半端ない。最近こっちの仕事にかかりきりのせいで放置している。クラウルの部屋に行ってもほぼ相手などせず寝落ちしている事もあって、徐々に自制がきかなくなりつつある。
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