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白衣の死神(ファウスト)
流石に、眠れなかった。
拒絶がこんなにも苦しいとは、想像以上だった。しつこいとか、そういうのではない。根本的な強い拒絶だった。あれではまるで、殺される被害者の顔だ。
今は隣で眠っているランバートを抱きしめたまま、痛む胸を一人宥めている。何が彼をこんなにしているのか、正体の見えないものでは対処ができない。犯人がいることなら、いくらでも退けてやれるのに。
翌朝、目を覚ましたランバートはやはり泣きそうな顔をした。何度も「ごめん」を繰り返して、なかなか顔を上げられなかった。
そんな姿を見るのが、苦しかった。
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