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どんよりとしていて、今にも雨が降ってきそうな灰色の空。
昨日泣いてしまってむくんで二重が一重になってしまった目。
今日の私は、誰がどう見ても「憂鬱」な日なのだ。
少女マンガなら恋が始まる日だ。
でも私は今日も部活の先輩を見ているだけだ。始まるどころか止まっている。
それに先輩は「優しい」で有名らしい。
イケメンなのに優しいから先輩のことが好きな人はいっぱいいる。
「表面しか見てないんだろうなぁ。あの人たち。」
小さくつぶやいた。
午後になり、二重に戻り始めている頃。
誰かが落としたであろう消しゴムを廊下で拾った。
探そうにも名前が書いていないし、その場に起ちつくすような形になった。
すると後ろから声をかけられ、振り返ると先輩がいた。
先輩の友達が落としてしまったものらしい。
「声かけやすいお前が拾ってくれてよかった。」と、イケメンなセリフを残して音楽室に入っていった。
顔が熱いのが触らなくても分かった。
「やっぱり私、先輩の事好きだ。」
恋が少しだけ、動いた音がした。
今日は恋愛日和だ。
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