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「ねえ。ちょっと、聞いてる?」
淡い微睡みの中。突っ伏していた机にバンバンと振動が響く。
「アンタ、また後輩の女の子に告白されたって?」
「……なんだよ」
「なんだよ、じゃなくてこっちが訊いてんの! それに、また断ったって聞いたけど?」
「……うん」
そう答えると、彼女は呆れたようにため息をつく。
「ほんと、昔っからモテはするくせに何でことごとくノーなのよ。ここまで頑なだと、アンタを好きになる子が可哀想になるわ」
だからって、急に怒られてもな……とは思いながら何も言えない自分がいる。
「何か理由でもあるの? 一応、これでも心配してるんだからね」
ちらっと視線を向けると、想像以上に気遣わしげな面持ちで見つめられていたことに、少し驚いた。
「……別に」
その返答を聞くや否や、彼女はむすっとした表情でそっぽを向く。
「そうね。アンタってほんとそういうの全然私に相談しないもんね! もう、心配して損した!」
相当ご立腹な様子で彼女は教室を出ていった。
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