小料理屋ラブフラワー開店

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◆ あれから弥生さんと彩さんに散々責められた俺は、グッタリしながら店の外まで女王達を見送りに出ていた。 あんだけ泣いた愛華は、今ではすっかり元気になって、 「二人ともぉ、今日はぁ、ありがとうねぇ!」 なんて両手をブンブン振っている。 「おぅ! 愛華、また来るからなっ!」 そう言って歯を見せながらニカッと笑う弥生さんは、店に来る前となんら変わりがない。 相当飲んでたはずなのに。 焼酎、一人で二本はあけてたし、ビールも日本酒も飲んでいた。 なのに顔色ひとつも変わってない。 「私は明日は休肝日! だから愛華、明後日また来るよ。えへへ」 一方彩さんはほろ酔いだ。 「えへへ」と笑うその頬は、ほんのりと赤く、軽くろれつが回ってない。 彩さんも弥生さんくらい飲んでいた。 あの飲みっぷりでこの程度ってのが恐ろしい。 「……ぁりがとぅござぃました…………、」 一応な。 俺も店員だしよ。 お客に挨拶してみたんだが、どうも聞こえちゃいないみたいだ。 俺の声が小さいってものあるけどよ、この三人は地声がデカイんだ。 「ばいばーい!」だの「またなー!」だの「本橋とチューしろよー!」だとか____え゛!!  ちょっと待て! これ以上愛華に変なコト吹き込むな! と、とにかく、しこたま飲んで上機嫌。 女王二人は手を繋ぎ、大声でしゃべりながら店を後にしたのだ。 「本橋さん、今夜もおつかれさまでしたぁ。つかれたでしょぉ?」 弥生さんと彩さんの後ろ姿が見えなくなって、愛華が俺に話しかけてきた。 ”つかれたでしょぉ”って、そりゃあなぁ。 「結局あの二人、開店から閉店までずっといたな。あれだけ飲んで、ほとんど変わらねぇってすげぇよ」 半分呆れて、半分賞賛。 あの量を飲める女を俺は今まで見た事がない。
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