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それから、俺は愛華の妹の為にプレゼントを用意した。
若い女の子が喜ぶものなんて、現金以外に思いつかねぇ(若くなくても嬉しいか)。
だからって現金渡すのもなんだし、そもそもたくさんあげられねぇし、だから、安くて見栄えのするもの……オルゴールを買ったんだ。
果たしてそれで若い子が喜ぶか分からねぇ。
でもよ、スッゲェ真剣に選んだよ。
入れ物……っていうの?
箱は白くて花の彫刻がしてあって、蓋を開ければ綺麗な音が流れてきてよ、曲は……忘れちまったがエリーゼのナントカ……とかいうタイトルだったと思う。
店で何度もゼンマイ巻いて、色んな曲を聞いた中で一番だと思ったヤツだ。
ピンクの紙で包んでもらって赤いリボンも巻いてもらった。
俺はそれを大事に持って帰ってよ、愛華からの連絡を待っていた。
本当はな、オルゴール、愛華の分も買いたかったんだ。
でも金がなくて1つしか買えなくて、でもいっかって開き直った。
だって、どうせ愛華と結婚したら妹だって家族になるんだ。
そしたら一緒に聞けばいい、そう思ったんだよ。
あの頃、楽しかったな。
初めてだよ、女に指輪を買ったのも、女の為に店の予約をしたのも、女の妹の為に必死こいてプレゼントを選んだのも、もちろん、惚れた女にプロポーズをしたのもだ。
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