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返事が来て、公園で待ち合わせをした。
来るのかどうか不安もあったけど、あんな写真を添付したんだ。
来るに決まってる、来てくれ、と心の奥で祈ってた。
あれだけ探して見つからなかった愛華、電話も出ねぇ、メールの返信もねぇ、その愛華が今回返事を寄越したんだ。
会ったらまず何を言おう、文句を言って、今までどこに居たのかを聞いて、それから金、金の事……と思っていたが、変わり果てた愛華の姿にそれらすべてが吹っ飛んだんだ。
……
…………つかマジ変わり過ぎだろ。
それから、なんやかんやで今の俺はラブフラワーの厨房だ。
社長の愛華が雇用主、俺は唯一の従業員。
おかしいな……どうしてこうなった……?
愛華に押されてあれよあれよとこうなっちゃったんだよなぁ。
ま、そのおかげで、毎月決まった給料と住む所が確保出来たんだ。
その点では愛華サマサマなんだけどよ。
なんて____
最初は軽く考えてた、……が、今ならわかる。
愛華、俺が送ったあのメールを読んで、
____愛華へのラブメッセでしょ?
____タテヨミしたらア・イ・シ・テ・ル だもーん!
____愛華ぁ、幸せぇぇぇ!
そう言ってたけど、……ありゃ違う。
ま、まぁ、確かに、縦に読めば ”愛してる” にはなったけど、本当に偶然だ。
そうじゃない、そうじゃなくてよ。
愛華は店に来た客の、顔も名前も職業も、好きなモノも嫌いなモノも、会話の中身も何もかも一発で覚えちまう、そして忘れねぇ。
愛華は頭の良い女だ。
そんな愛華があんな誤解をする訳がねぇよ。
そうだ、解ってたんだ。
アレが脅迫文だと解った上で、俺に会いに来た。
無視する事も出来たのに、警察に届ける事も出来たのに、それをしなかったのは……俺を犯罪者にしない為だ。
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