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「あー、心配すんな。今のはチョット考え事をしてただけ。体調は悪くねぇよ」
「そ、そう? それなら良いけど……愛華ぁ、本橋さんに何かあったらぁ、……グズグズ……ヤ、ヤダヨォ……」
いきなりだ。
体調は悪くねぇ、そう言ってるにも関わらず、ワルイ想像で愛華は勝手に泣き出したんだ。
なんだよ……泣くほど心配か? そんなに俺が好きか?
それならなんで突然いなくなっ…………あ……突然、か。
そうだ、5年前に突然消えた愛華は、俺がメールをしたとは言え突然現れた。
突然が2回あったんだ。
この先……3回目がないと言えるのか?
また愛華は突然いなくなるかもしれない。
こうやって一緒に住んでも、好きだ好きだと言われても、今後いなくならないという絶対的な保証はないんだ。
そう考えたら、俺は急に背筋が冷えた。
突然現れた愛華。
昔と見た目は変わったけど、中身は昔以上に優しい女だ。
あんなメール怖かっただろうに、それでも俺を救いにやって来たんだ。
ラブフラワーで一緒に働き俺のフォローもしてくれて、メシを作って俺の健康まで気にかけてくれる。
なのに……もしもまた愛華がいなくなったら、今の俺に耐えられるだろうか?
「グズグズ……愛華ぁ、本橋さんがぁ、大好きでぇ、これからはぁ、ずっとぉ、一緒にいたくってぇ、愛華はぁ、愛華はぁ、昔ぃ、突然いなくなったけどぉ、でもぉ、でもぉぉぉ……うわぁぁぁぁん」
あ……コイツも気にしてたんだ。
そか……そうなんだ……なにがあったか知らねぇけどよ、……でも、もしかしたら愛華の本意じゃなかったのかもしれねぇな。
目と鼻から大量の水分を流す愛華。
相変わらず豪快な泣き方だ。
最初見た時は驚いたけど、いい加減慣れてきた。
弥生さんも彩さんも、スリムで美人だと思うけど、最近は……あんな細くて大丈夫か? なんて感覚がおかしくなってきてるんだ。
クソッ……!
なんだこれ、なんだこの気持ち。
女の涙に男は弱い、……それは保護本能を掻き立てられるからだ。
だが愛華のは別物で、あまりにも激しいから笑いの神が降りてくる。
なのに……チッ!
今日は降りてこねぇじゃねぇか!
「本橋さん、グズグズ……ヒックヒック……」
あーあー、泣きすぎて目が腫れて、数字の ”3 3” になっちまった。
ブッサイクだなぁ……って、あ、あれ? よく見たらそうでもねぇな、意外とカワイイ、……いや、待て! んな訳あるか!
だ、だけどよ、でも、あれ? あっれーーー!?
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