小料理屋ラブフラワー休日

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もっともな質問だ。 たぶんコレは俺の中の最後の悪足掻きなんだと思う。 けどな、やっぱ嫌なんだわ。 もしまた愛華がいなくなったら、次は耐えられそうにねぇんだわ。 だから____ 「細かいコトは気にすんな。俺はこの数か月、愛華に毒された、」 「毒された!?」 「あぁ……っと、言葉のアヤだ、スルーしてくれ。とにかく俺は変わったんだ」 「うん」 「厨房の仕事が楽しいし、やりがいも感じる」 「うん……!」 「ラブフラワーで働けて良かったとも思ってる」 「うん! ……うん!」 「これからもずっと厨房でいてぇ」 「うん! うん!」 「ラブフラワーで愛華と一緒に働きてぇ」 「うん! うんうん!」 クリームパンみたいな丸い手を、祈るように重ね合わせてニコニコ笑う。 愛華は心底幸せそうに俺を見るけど、目は相変わらず数字の ”3 3” でどこを見てるかイマイチわからん。 だが、それが良い。 喉まで出かかっているコトバ。 これを言ったらもう後戻りは出来ねぇ………………、 だけど……だけど……派遣を切られてホームレス、金もねぇ、住むトコもねぇ、挙句の果てには道を踏み外しそうになった俺を助けてくれたのは愛華だ。 誰も俺に見向きもしねぇ、道端のゴミ屑みてぇな俺を、昔と変わらず好きだと言うのは愛華だけ。 俺はコイツに救われたんだ。 …… ………… えぇい!  本橋健吾31才! 俺も男だ! 腹を括れぇい! 「愛華、」 「なにかな?」 「結婚すっか」 「………………………………え゛!?」 この時の愛華。 汗と鼻水と涙に(量が多い順番)塗れ、とてつもない顔をしていた。 そう、とてつもなく……カワイイ愛い顔で……石化していたのだ。
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