小料理屋ラブフラワー休日

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…… ………… ……………… かれこれ5分。 愛華の石化がまだ解けねぇ。 顔から汗をボタボタ垂らし、「あぅ」とか「うぉ」とか、ワケのわからん声をあげてる。 つーか、……なんだこの反応は。 予想と違う……俺の予想じゃ雄叫びあげて喜ぶものだと思っていたのに。 「あ、愛華……? どうした? う、嬉しくねぇか?」 おそるおそる聞いてみた。 が、愛華はヘンな唸りを漏らした後に、首だけブンブン振っている。 お、おう、とりあえず嬉しいは嬉しいみたいだな。 じゃあ、なんだって何も言わねぇんだよ。 あ、もしかして、嬉しすぎて何も言えねぇのか? 「もう一回聞くぞ? 愛華、嬉しいか?」 コクコクコクコク!←肯定のコクコク 「そうかそうか、よーしよしよし。じゃあ、嬉しすぎて声が出ねぇのか?」 ブンブンブンブン!←否定のブンブン 「え、え? 嬉しくない?」 ブンブンブンブン!←否定のブンブン 「ん? じゃあやっぱし嬉しいで合ってる?」 コクコクコクコク!←肯定のコクコク 「…………愛華ぁ、訳わかんね」 ブンコクブンコクブンコクブン!←肯定と否定の融合? はぁ?  なんだそれ、首を縦と横と交互に振ってて意味不明。 つかよ……つかよ…… 「あーーー! 何が言いてぇのかサッパ分かんねぇー!」 「きゃー! ごめんなさーい!」 あ、喋った、石化も解除された。 「…………愛華。オマエ、ふざけてるのか? 俺は真面目にだなぁ、その、……プ、プ、プ、プロポーズをだなぁ……って、なんだこりゃ……照れるじゃねぇか、」 改めて ”プロポーズ” という言葉を口にすると、全身から汗が吹き出した。 さっき、もしもまた愛華が消えたら……そう思ったら、急に不安になってきて、居ても立っても居られなくって、勢いで言っちまったが……そうか、いま俺……、愛華に結婚を申し込んだんだ。 コイツにプロポーズをしたのは……5年前と、それから今日と、これで2回目だ。
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