マリン・スノー

2/10
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
鏡に映る自分が、見知らぬ女に思える。 今日のために新調した高価な青いドレス、重い真珠のネックレス。 ショートの髪には髪飾りが光っている。 普段はそんなもの絶対につけない。 あんた誰よ、と心の中でつぶやく。 本気であの子の結婚式に行くつもり? と。 ちょっと見るだけ、お祝儀を渡して式に参列したらすぐ帰る。 披露宴には参加しない。 あんな子、友達でも何でもない―― もう一人の自分が言い訳を並べる。 招待状が送られてきてから、頭の中はずっとこんな調子だ。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!