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第一章転校
彼女の一言で教室は一変に静まる。
五月に吹く春風は少し暖かく、教室の窓の隙間から緩く吹き抜ける。
白いチョークが消されて、薄れ残る黒板の前に、一人の少女とクラスの担任教師が横並びに立つ。彼女は、神妙な面持ちでクラスメイトを見渡し、告げた。
「私は、残り二ヶ月で転校します。」
まだこの時期は冷たい春風も吹く、クラスメイトを目の前にしても凛々しく立つ、少女の告白と同時に教室の中に冷たい風が入り込み、俺の座っている椅子の背もたれに掛かっている、着慣れない高校指定のブレザーを俺は羽織ることにした。
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