第一章転校

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教卓を挟み目の前にある椅子に座りながら川崎先輩に忠告する。川崎先輩は顎に手を当てて何かを思い出す様な仕草をして俺の目を見返してくる。 「隠し事なんて無いし、女の子関係はいつものことだし・・・やっぱし隠し事なんて無いな」 「川崎くんは真面目な方だし、隠し事できる様な人では無いものね」 先輩同士で話が勝手に進むが、もう隠し事は今発覚していませんでしたか。俺の聞き間違いでしょうか、と言いたいが元々川崎先輩は恋沙汰で数多くの問題を抱えている。だから今更掘り出してもいつ何処でと問い詰めたところで解決する問題では無い。それに川崎先輩はいつも真っ直ぐ過ぎて嘘や隠し事は今先ほどの様に無自覚に言葉に出す、だからこそ山田先輩の言い分は入学して間もない俺にでも理解出来てしまう。だから純粋に俺は質問した。 「でもどうして川崎先輩宛てだったのでしょうか」 川崎先輩と山田先輩は二人して目を合わせ同時にさぁと答えた。今までの中でもこんなことはなかったのであろう、そしてこれがまだ始まりの前兆だと気が付いたのは俺と先輩方は、もう少し後になってからだ。
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