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麗子博士は一枚のステッカーを差し出す。そのステッカーには赤い文字で、“LOVE MACHINE Prototype”と書かれている。赤い文字というところが、麗子博士らしい。
「構いませんよ。目立つところにドーンと貼ってやってください」
麗子博士は待ってましたとばかりに、機械の正面の一番目立つところにステッカーを貼り付けた。
「ところで、誰が最初の実験台になるかは決まってるの?」
「いえ、まだ。これから被験者を募集して、実験はそれからですね」
「ふうん」
麗子博士は何かを考えるような素振りで、右手の人差し指を立てて顎に当てる。そして、三十秒ほどしてから、急に手をポンと打つと、
「これから実験してみましょう? 今日は星空が綺麗だし、絶好の告白日和よ」
と、何かを目論むような表情で言う。
「夜なのに告白日和も何もないでしょう……」
「気分よ。き・ぶ・ん」
「それに、実験するって言ったって、ここには僕と博士しかいないんですよ? 誰を使って実験するって言うんですか」
僕は溜息を吐いた。すると、麗子博士がニンマリと笑う。
「あなたが実験台になればいいのよ」
「ぼ、僕ですか!? ちょっと待ってください。ここには僕と博士しかいないということは、僕が中から出てきて最初に見る異性は博士ってことになります。それって、つまり、実験が上手く行ったら、僕が博士のことを好きになるってことで……」
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