Invention

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「何? 私のことを好きになったら何か困るわけ?」 「いえ、そういう訳ではないんですが……」 「だったらつべこべ言わずに、さっさと機械に入りなさい」  博士は少しだけ眉間に皺を寄せて言う。そして僕は殆ど強制的に機械の中へと入れられた。  球状の機械の内部は、四角い部屋になっていて、その真ん中に椅子が一つ備え付けてある。僕はその椅子に腰を下ろす。すぐに麗子博士が機械のスイッチを押したらしく、部屋の中にピンク色の明かりが灯り、ヒーリングミュージックが流れ始める。だけど、特に身体に変化を感じることはない。果たして実験が成功に向かっているのか、あるいは単なる失敗なのか、それすらもわからない。  五分ほど時間が経ち、音楽が止まったかと思うと、部屋の明かりが消え、ゆっくりと扉が開いた。僕が立ち上がると、麗子博士が機械の出口正面に立つ。そこにいる麗子博士は、白衣を脱いで、赤いワンピースに身を包んでいる。相変わらずの赤縁の眼鏡と真っ赤な口紅と赤い網タイツのせいで、色気が溢れ過ぎている。     
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