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僕の心臓はバクバクと音を立てて激しく高鳴る。僕は麗子博士が好きだ。とはいえ、僕は実験の前から麗子博士のことが好きだったし、今のこの好きという気持ちが、実験の成果によるものなのかどうかはわからない。ただ一つだけわかることは、この機会を逃したら、麗子博士に告白する機会など二度と来ないかもしれないということだ。僕は一度大きく深呼吸して覚悟を決め、ゆっくりと麗子博士に近づいた。
「博士、いや、麗子さん。僕はあなたのことが好きです」
渾身の力を振り絞って僕は告白し、麗子博士の反応を待つ。麗子博士が一歩前に進み、僕との距離が殆どなくなる。そして、麗子博士の柔らかそうな唇がゆっくりと開く。
「私もずっと、あなたが好きだった」
その言葉に、僕のボルテージは最高に達し、麗子博士を強く抱きしめた。そんな僕の耳元で麗子博士が囁く。
「今ね、本当は電気を点けて音楽を流しただけで、機械のスイッチは入れてないのよ」
慌てて僕が離れると、麗子博士は小さく下を出して、悪戯っぽく笑った。
【完】
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