Invention

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 麗子博士は、僕の大学の二年先輩に当たる。そして、僕は学生時代からずっと彼女に憧れていた。もちろん、彼女には数多くのファンがいたけれど、その中でも熱烈さでは誰にも負けていない自信がある。そして僕は、大学院を卒業すると、長谷川科学研究所に就職し、今は麗子博士の助手として働いている。  カツカツ、カツカツと、麗子博士のハイヒールの音が廊下に響く。僕は一度大きく深呼吸してから、研究室の入口近くで麗子博士を待ち構える。 「みんな、おはよう」  麗子博士は、いつものように元気に挨拶しながら、研究室に入ってくる。その声に、助手一同、「おはようございます」と挨拶を返した。  今日の麗子博士は、赤縁の眼鏡に真っ赤な口紅、赤い網タイツと、白衣以外は赤づくめだ。だけど、それがまたサディスティックな色気を麗子博士に与えている。そんな麗子博士の姿に、僕は思わず悶絶しそうになるが、グッと堪えて、自分の席に戻る。  麗子博士は自分の席に着くと、一度、助手たちの顔を見回した。 「今日は朝から本当にいい天気ね。まさに発明日和だわ」  麗子博士は大真面目な顔をして言うが、助手はみんな戸惑った表情を浮かべている。もちろん、僕自身も戸惑っている。 「博士、天気と発明と、いったい何の関係が?」  僕は戸惑う助手一同を代表して尋ねた。 「気分よ。き・ぶ・ん」  麗子博士はそう言って、ニッコリと笑う。そんな麗子博士に、僕はまたしても心を撃ち抜かれてしまう。恐らく、心を撃ち抜かれたのは僕だけじゃない。研究室内にいる男全員だ。     
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