Invention

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 予約を終えて、第一カンファレンスルームに行くと、麗子博士は既に椅子に腰を下ろして待っていた。僕は急いで麗子博士の隣の席に座る。麗子博士の体全体から、花のような甘い香りが漂ってくる。一度は消えたいらぬ妄想が、再び僕の頭の中にムクムクと湧き上がってくる。僕は慌てて首を強く横に振り、妄想を打ち払う。 「高澤くん、大丈夫?」 「だ、大丈夫です」  僕は答えてから、できるだけ真面目そうな顔に作り変えて、 「それで、お話とは何でしょうか?」  と、本題に向けて話を振った。 「あ、そのことなんだけどね、実は、新しい研究テーマを考えようと思っているのよ。そこで、頼りがいのある大学の後輩に声をかけたのよ」  麗子博士の言葉に、ガッカリと落胆する僕がそこにいた。愛の告白などではないと、頭ではわかっていたのだが、やはり心の何処かでは微かに期待してしまっていた。だけど、新しい研究テーマの相談相手に選ばれたというのは科学者の端くれとしては光栄なことだし、麗子博士から頼りにされたというのは喜ばしいことだ。 「それで、何かテーマとして考えてるものがあるんですか?」  僕は気持ちを切り替えて尋ねてみた。 「何を他人事(ひとごと)みたいに言ってるのよ。今度の研究は、あなたにチームリーダーを務めてもらうのよ?」 「僕がチームリーダー!?」     
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