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「できるかどうかなんてわからないわよ。でも、できるようにするために、研究して発明するんじゃないの?」
「いや、確かにそうかもしれませんけど。でも、人の心を操作するなんて、倫理的にも問題があるんじゃないですか?」
「細かいことは気にしない」
麗子博士は僕の発言を一刀両断して、ノートに大きく“愛”と書くと、
「名付けて、ラヴ・マシーン開発計画よ!!」
と一人で拳を天に向かって突き上げる。こうなってしまっては、僕の声など届かない。とにかく、こうして僕をチームリーダーとする新しい研究が始まった。
研究が始まって一ヶ月ほどした日の午後十一時、一人で研究室に残って、パソコンに向かっていると、カツカツというハイヒールの音が廊下の方から響いてきた。やがて、麗子博士が研究室に姿を表すと、そのまま僕の隣の席に腰を下ろした。
「こんな時間まで一人で研究? 感心感心」
「まだ、いろいろと計算しないと行けないことがありまして」
「そっか。でも、あんまり根を詰めなくても大丈夫だからね。まあ、とりあえずこれでも飲んで、一息ついたら?」
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