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ラーメンが出来上がるまでの間、先野は先日の依頼の顛末を語る。
「依頼者は一方的に感情をつのらせていたんだな。家の前でわめき散らしていたよ。パトロール中の警察官に引きずられていったのを見るにつけ、哀れだと思ったな……」
「そういうことは、よくありますよね」
原田は調子をあわせる。
「ネットで知り合っても、遠くに住んでたら会えないよな。だから依頼が来たとき、ピンときたんだ。こいつはターゲットのことを知ってるな、と。でないと、捜してくれなんて頼まない」
「さすが先輩」
「死んだあとにログインしてたのが母親だったのも、おれの睨んだとおりだった」
「探偵の推理力っていうやつですか」
「推理とまではいかないだろうが、カンの良さだな。探偵小説のような込み入った事件に関わることはないが、おまえがおれみたいな一人前の探偵になるには、もっともっと経験が必要だろうな」
先野の鼻息が荒くなる。
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