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ホワイトデイには花束を 4
「そうですね、ホワイトデーに贈るものですか。悩みますね」
投げやりになって、任せてしまった。
しかし苦の表情は伺えない。むしろ、楽しそうだ。顎に指を当て、考える。親指が振動で縦揺れを起こす、ら
「あの、そこまで考えなくても」
「いいえ、花道の家元である私にとって、これはそう試練と同じです。それに、私楽しいんです」
「楽しいんですか?」
「はい、、こんなに爽快なことは滅多にありません!」
「はあー」
そして花壇に近づきながら、ふと顔を上げた。
瞳を大きく瞼を開き、そしてボクに向けて放つ。
「花言葉は「友情」なんてどうです?」
「「友情」ですか。ぴったりですね、でどんな花ですか?」
「似たような意味はいろいろありますが、忘れな草、いえガーベラでもなく、そうです!薔薇、黄色い薔薇なんてどうですか?」
「薔薇ですか、いいですね。でも、なぜ黄色なんです?あっ!」
「わかりましたか?」
「はい」
「では、明日の朝には見繕ってまいります」
「いえ、取りに行きますよ」
「えっ?!ですが、私の家はここからバスで四十分近くはかかりますよ?」
「大丈夫です」
「では、待っていますね」
「はい」
そしてこの日は、それで終わった。
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