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かつて男と女は、曖昧な境界線の中にいた。けれど、何か突然、神の思い立った気紛れな悪戯が、私たちを男と女にした。一体どの神がそのような悪戯心を持ち得ていたのだろう。そんな事を考えながら声を熱くする。
「先生……ァ」
星が瞬いていく。頭の中でトロトロの蜜が溢れてくる。私の汚い物を飲み込んで、匂いを発する。女臭い。嫉妬に塗れた汚い私の臭い。
ーー思い出してみた。貴方と私がただの先生と生徒だった頃の事。あの頃、よく貴方の夢を見ていた。貴方、夢の中で私を犯していた。泣き喚く私を押さえつけて何度も何度も犯していた。
「あぁ、先生。先生っ」
水面に映る裸体。男と女の臭いが神聖な湖のほとりを汚す。
「はぁ、はぁ」
「いいか?」
「はい……」
「そのままでも?」
究極の愛は、貴方の全てを受け入れる事。
「はい」
音なき何かが私の中でお戯れになり、その間貴方は脱力感を漂わせた顔に微笑をこしらえ離れて行く。間も無くトプトプとこれまた音なく貴方がいた場所から溺れ落ちる。
終わり果ての先にあるものは、ただの憎しみか。
「またおいで。待ってる」
「はい。先生」
「なんだ?」
ただのーー。
「……いえ。また来ます」
来た道を戻っていく。父様、母様に知られないよう早く戻らなければ。腹部の違和感。貴方から放たれた偽りかもしれない愛のせいで子宮が騒いでいる。
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