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ざざざ……。
オレは、砂の落ち込む方へ放り出された。
「ち、しまった」
慌てて、砂丘を登ろうとしたが、足を砂に取られて、前に進むことができない。
「た、たすけてくれ!」
女が、オレの頭上から「じぃーっ」と見つめている。その口角は、少し上がっていて、どう見てもオレを嘲笑っていた。
「断る!」
馬鹿な!オレはさっき、お前を助けてやったじゃないか。
「わ、悪かった。おま……いや、あなたの弱みに付け込んで、無礼なことを言いました、すみませんでした!」
砂に顔を突っ込んで、全力で謝った。
だが、女はせせら笑った。
「はっ。私はね、あんたみたいなクズが大嫌いなのよ。出でよ、野槌!」
女が九字の印を切るような動作をすると、巨大なムカデのような化け物が飛び出した。
体調は10メートルはあろうか。
その長い体の先頭には、巨大な口が一つ、ついていた。
「その男は、不浄な生き物に付き、お前のエサにして良い」
キィィー!
「う、わ、やめ、助けてくれ、お願い……」
ずぼっ
野槌は、オレの頭に食らいついた。
バキ、ボキボキ、ゴリゴリ……
それは、オレが最後に聞いた音だった。
オレの、骨が粉砕され、化け物に飲み込まれる音だ。
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