A:ドロボー

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 珪は、飲み物を用意しようと、ソファーから立ち上がった。 「桜蔵、何飲みたい?」 「ココアー!」  弾むように桜蔵が答えた。  キッチンで用意をしながら、珪は再度聞いた。 「甘さは?」 「レベル2でお願いしまーす」 「りょーかい」  小さな鍋とココアパウダーの入った缶、砂糖、牛乳を揃えて、甘さを調節をする。  大きめのマグカップ2つを手に、くるりと振り返ると、桜蔵は立ち上がって、ツリーを眺めているところだった。  ココアとともに、ソファーに戻る。 「終わったの?」 「んふふっ……」  桜蔵は楽しげに笑った。  珪が桜蔵分のココアをテーブルに置いて、ツリーを見ると、飾り付けは十分のようだった。 「あれ?てっぺんの星は?」 「メインイベントなので、残しといた」  弾むような答えと、満面の笑み。 「お前、ホントこういうの好きだよな」 「はい、珪ちゃん」  桜蔵は、両手でもみの木の頂上を飾る星を差し出した。丁寧に、大切なものでも持つようにして。
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